みなさまにおかれましてはご健勝のことと存じ上げます。カブです。暖冬の予報は当たっているようで、本日(2018.12.01)よりも明日、明後日のほうが気温が上がりそうとのこと。札幌あたりでは12月の最高気温の記録更新になるのではないかとも。ではあるものの季節が冬であるのはもちろんで、である以上このあたり(早来最終処分場周辺)にはいつものごとく、渡り鳥を目撃する時期です。
近くには日本有数の渡り鳥の中継地であるウトナイ湖がありますので当然といえば当然でありまして、処分場上空を群れ飛ぶ渡り鳥をごく普通に目撃しますし、近くの牧場などで羽を休めるかれらを見ることにもなります。写真の鳥は数えるほどでしかありませんし、どうということもありませんが、これが夜の帳(とばり)が降りたばかりで畑一面にうごめいているとなれば少し気持ちがわるいほどです。いまよりももう少しまえの時期、雁なんでしょうか、すごい数のときがあります。
前回予告した動植物性残さについて少しだけお話をさせていただきます。(渡り鳥の話から動植物性残さへって強引というか、なんだかな~って感じはしますが)弊社北海道事業所(主に札幌工場)では広義の「廃製品」処理依頼が多いです。わけても「食品」の依頼が多く、時折、廃掃法上における分類で「動植物性残さ」を使いたがるお客さまがいらっしゃいます。確かにお気持ちはわかるのですが、この分類には注意が必要です。「動植物性残さ」には業種指定があるうえにその工程にも規定があるからです。業種指定というのはある特定の業種から発生した場合のみ産業廃棄物として取り扱うことを意味しており、動植物性残さの場合は「食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業」の3業種です。また工程は「製造工程から発生する固形状の動植物性不要物」からのみとなります。例えばです。レトルトのカレーを作る会社さまがいらっしゃったとして、できあがったレトルトカレーに不具合があり、廃棄したいとします。(縁起でもない? ごめんなさい。おゆるしくだされ)分類を「動植物性残さ」単独にしたいとすると産業廃棄物にはならない可能性が高いです。製品となってしまった以上製造工程から出たとはいえないからで、一般廃棄物となります。もっとも(一部の例外を除いて)たいがいの自治体は会社から出る廃棄物はなんでもかんでも産業廃棄物といいたがる傾向がありますので一般廃棄物として自治体の処理施設が受け取っていただけるかどうかはまた別の話です。産業廃棄物か一般廃棄物かの線引きは各自治体の裁量権の範囲内と思われますので。一方、製品でありますのでパッケージ部分があります。なので、「廃プラスチック類」「金属くず」との混合と考えれば、産業廃棄物といえる可能性は当然残ります。更にいえば「動植物性残さ」ではなく、「汚泥」「廃油」であれば業種指定で悩む必要はなくなるかもしれません。ではあるものの「動植物性残さ」で産業廃棄物になる例としてはどんなものがあるでしょう? 製造工場の現場に戻りましょう。製造ラインから出る端材、例えば肉のきれっぱしとか今回製造したのはシーフードカレーだったのでエビの殻であるとか、はたまたジャガイモの皮とかでしたら産業廃棄物になりますね。
少しといいながら長くなってきました。そろそろ終わりにしますが、「動植物性残さ」の話で引き合いに出されることが多いのが「おから」ですね。TVのクイズ番組でおからが産業廃棄物だと出題されたりもします。トリビアとしてはおもしろいですが、「ちょっとね」という気がします。最高裁判決で産業廃棄物と認定された事例があるのは事実です。しかし、すべてのおから=産業廃棄物ではありません。この事案についてはおからを産業廃棄物と判断するということであって、店頭でみなさんが購入するおからが産業廃棄物ではないのです。尚、この判例は廃棄物業界では非常に重要な判断材料であり、一般に「総合判断説」と呼ばれます。これについての解説はまたの機会にします。それではまた。カブでした。暖冬かもしれませんがご油断されないようにおすごしください。